職場で正しい敬語を使えていますか?
敬語は相手を尊重する気持ちを表すために使うものです。
しかし、使い方を間違えてしまうとかえって失礼な印象を与えることにもなりかねません。
特にビジネスシーンで間違いやすい敬語を5例ほどまとめてみました。
普段何気なく敬語だと思って使っている表現が誤っていないか確認して見てはいかがでしょうか。
「各位」の使い方
「各位」は、複数数の人に対して、それぞれに敬意を払って言う敬語表現です。
敬語ですので、その後に様や殿などの敬称をつける必要はありません。
ただし、例外があります。
「お客様」や「お得意様」などの場合は、敬称の中に「様」が含まれていても、それ自体が独立した名詞であるため、「様」を外さずに「お客様各位」・「お得意様各位」という使い方をします。
一方で、通常は「様」を付けて呼ばれる株主・会員・利用者などに対しては、「株主各位」・「会員各位」・「ご利用者各位」といった呼び方になります。
しかし、この言葉はあくまでも文書言葉であり、しかも極めて硬い用語ですから、スピーチや会話、私的な書簡などでは避けるようにしましょう。
各位という言葉は、文章の宛名として使われます。
口頭で「○○の皆様」と伝えることは通常ですが、これが書面の宛名になると「○○の皆様」という表記に違和感や、ややカジュアルな印象を持つ人もでてきます。
そこで、宛名を「○○各位」とすることで、ビジネスメールや文書全体のトーンを合わせることができるのです。
メールや書面の宛名で「○○の皆様へ」と伝えたい時に「○○各位」とすることで「各人に敬称をつけて宛てている」ということを表現できます。
「ご査収」の使い方
ビジネス文書やメールでよく使われる「ご査収」の読み方は、「ごさしゅう」と読みます。
「査」は「よくみて調べる、検査する」
「収」は「おさめる、取り入れる」
といった言葉の意味があります。
ですので「ご査収」とは、
「内容をよく確認してお受け取り下さい」
という表現になります。
また、「ご査収」の類義語として「ご検収」という言葉があります。
「検」にも「よく確認する、調べる」といった意味があります。
ただし、「ご検収」は「納品されたものが、注文した通り間違いなくあるかをよく確かめた上で受け取る」ことなので、相手が受け取るものが異なってきます。
使い分けをする場合は下記を参考にしてください。
「ご査収」は、ビジネスシーンで下記のような場合に使用します。
・内容をよく確認して欲しい添付ファイルをメール送信する時
・内容をよく確認して欲しい書類や資料を郵送する時
前述している通り、あくまでも「内容をよく確認して受け取るもの」がある時にしか使うものです。
確認するものがないのに「ご査収」を使ってしまうと受け取った相手は何を確認すればいいのか分からず困惑してしまいますので注意しましょう。
「取り急ぎ」の使い方
“取り急ぎ”は、“とりあえず、急いで”という意味です。
この1語の中には、
「本当はきちんとお礼を述べたり、決定事項をご連絡すべきところを、一旦は至急の要件だけで失礼致します」
という気持ちが込められています。
さらに、丁寧な連絡ができていないことに対する申し訳ない気持ちや、至急の連絡はきちんと済ませたことの確認の意味も含まれています。
ビジネスメールの中では良く使われる言葉です。
“取り急ぎ”は、「取り急ぎ~致します」というように敬語と組み合わせるのであれば、目上の相手に対して使うことができます。
先ほど述べたように、“取り急ぎ”には丁寧な連絡ができていないことに対して恐縮する気持ちが込められています。
【「取り急ぎ」の使用例】
・取り急ぎ見積書を添付いたします。
詳細につきましては後ほどご説明いたします。
この場合、後からきちんとした説明をする前提で“取り急ぎ”が使われています。
「取り急ぎ」の言い換え表現は?
“取り急ぎ”に代わる表現として、“一旦”や“まずは”などがあります。
例文をご紹介します。
【「取り急ぎ」の言い換え表現例】
・一旦、書類のみ送付致します。
・まずは、ご報告のみで失礼致します。
類義の意味を持つ“とりあえず”は、
より口語的で砕けた印象になります。
「当方」の使い方
まず、「当方(とうほう)」には以下のような意味があります。
自分の方。こちら。
上記のように、この言葉には「自分の属している方、こちら」といった意味があり、英語でいうと「our part(side)」「I」「We」といった語に当たります。
「当方」は、自分が属している組織や会社の一人称として使う言葉です。
男女問わず使える表現ですが、
個人の一人称としては「私」を使いましょう。
また、他社に対しての自社を示す言葉であるため、
社内で使用することはありません。
「つきましては」の使い方
「つきましては」は、漢字で「 就きましては」と書きます。
このように漢字表記もありますが、一般的には平仮名で「つきましては」と表記することが多いです。
「つきましては」は、ビジネスにおいてはメールや目上の人への対応でよく使う機会があります。
文中で使う「○○につきましては」と文頭で用いる「つきましては、~」の2つの意味や使い方が存在するのでしっかり覚えておきましょう。
「○○につきましては」では、 直前の○○のことを指したり、○○ついて説明したりする時に使われます。
「○○に関しては」「○○については」の丁寧表現なので、目上の人や取引先の方にも失礼なく使うことができる表現です。
実際の使い方は以下に例文で紹介していますので確認しましょう。
・設定方法につきましては、ホームページの方でご確認ください。
・出欠につきましては、20日までに私の方までご連絡いただければと思います。
このように相手に対して丁寧な表現をしたい時に使います。
一方、家族や友人などの親しい関係の人に対しては「つきましては」の表現は丁寧すぎて不自然に聞こえるので、「○○については」などにしましょう。
次は、文頭で用いる「つきましては、~」の使い方について確認しておきましょう。
接続詞として「従って」「ですので」などを丁寧に表したい時に使いやすい用語です。
「○○につきましては」と同じく、ビジネスにおいて目上の人や取引先の方に使うことができます。
以下に例文フレーズを紹介します。
・先月の売り上げデータがでました。つきましては、明日会議を開くことになりました。
・今回のご依頼に関しては見送らせていただくことになりました。つきましては、担当から連絡させていただきます。