世界中で猛威を振っている新型コロナウイルスにより、
「ウイルス」という単語を耳にする機会が、
多くなりました。
そもそも「ウイルス」とは一体どのようなもので、
どのようにして生きているのかについて、
ボンド大学の生物医学准教授の解説をご紹介します。
地球上には 1000穣(10の31乗)個以上の、
ウイルスが存在すると推定されています。
そしてウイルスは、自らエネルギーを生み出したり、
蓄える能力を持っていません。
ですので、
他の生物の細胞に寄生して、
その細胞が生み出すエネルギーを利用して生きています。
単独では生きられないという特徴から、
ウイルスは非生物とみなされています。
細胞に寄生していない状態のウイルスは、
ビリオンと呼ばれる粒子をまとっています。
ビリオンに包まれたウイルスは、
細胞に寄生していなくても一定期間生き延びることが、
できます。
ビリオンに包まれたウイルスが、
細胞を持つ生物と接触すると、
その生物はウイルスに感染します。
細胞に寄生したウイルスは、
増殖やビリオンの生産を行います。
中には細胞を乗っ取ったり、
捕食したりするウイルスの存在も確認されています。
増殖したウイルスは、
さらに多くの細胞に寄生するために、
他の細胞へ移動します。
脂質でできた膜を持つウイルスも存在し、
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)もその1つです。
脂質の膜は石けんで溶かすことができ、
膜を溶かすことでウイルスそのものを、
破壊することができます。
そのため、新型コロナウイルスを含む、
ウイルス対策の効果的な手段として、
石けんで手を洗うことが推奨されています。
ウイルスは、
せき・くしゃみ・はがれ落ちた皮膚・宿主が、
触れたものを介し、
新しい宿主もしくは細胞ではない別のものへと、
移動します。
こうしてウイルスは、さまざまなものを媒介として、
広がっていき、感染の流行をもたらします。
特定の生物を認識して寄生するウイルスも存在します。
例えば猫は、 猫免疫不全ウイルス(FIV)という、
猫のエイズを引き起こすウイルスに、
感染する可能性があります。
また、コウモリは複数のコロナウイルスを保有しており、
新型コロナウイルスもその1つです。
新型コロナウイルスは コロナウイルス科に、
属するウイルスの一種です。
2003年に 重症急性呼吸器症候群(SARS)を、
引き起こした SARSコロナウイルスや、
2012年に 中東呼吸器症候群を引き起こした
MERSコロナウイルスと同じ分類にあたります。
何故「コロナウイルス」というのでしょうか。
それは、ウイルスを顕微鏡で観察したときに、
ビリオン表面にある小さなタンパク質の突起が、
太陽コロナのように見えることに由来しています。
新型コロナウイルスを含むコロナウイルスは、
比較的頻繁に変異します。
博士は、
「多くの人はウイルスによってどんな病気が、
発症するかを気にしがちです。
しかし、病気そのものだけでなく、
ウイルスの特性、感染経路、増殖手段を、
もっと知るべきです」
と語っており、
ウイルスへの知識を深めることを推奨しています。